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トランスジェンダーについて

イメージイラスト 1 はじめに
  前回までとは毛色が異なりますが、今回はトランスジェンダーに関するコラムを行います。
 「なぜトランスジェンダー?」とか、「そもそもトランスジェンダーってなに?」というお声も聞こえそうですが、前者の答えはシンプルです!
 令和3年9月24日に関東弁護士会連合会という弁護士会の集まりが軽井沢で行われ、そのテーマがトランスジェンダーについてであり、私がその集まりの実行委員会に所属していたからです!
 前説はこの辺にして、それでは、トランスジェンダーがどのような方々を指すか見ていきましょう!

2 トランスジェンダーとは?~LGBTにおける位置付け~
  トランスジェンダーという言葉は初耳な方でも、LGBTという言葉を知っている方は多いのではないのでしょうか。LGBTとは、L(レズビアン)、G(ゲイ)、B(バイセクシャル)、T(トランスジェンダー)の頭文字で構成される性的少数者を指す言葉の一つです。
 このうち、LGBは、それぞれの性的指向(恋愛感情や性的欲求)を示すものです。他方、T(トランスジェンダー)は、性的指向とは異なり、出生時に割り当てられた性別とは異なる性自認を持つ方を指します。かみ砕いて言えば、トランスジェンダーの方は、自己の認識と異なる性別に割り当てられている方を指します。因みにトランスジェンダーに当たらない方は、シスジェンダーと呼ばれます。(cisはフランス語で“こちら側の”を意味し、トランスの対義語に当たります。某宇宙戦争の暗黒面のシス“Sith”とは関係ありません!)

3 トランスジェンダーの方と社会
  トランスジェンダーの方に対する社会の対応は必ずしも望ましいものとは言えません。
 少し前までは、一部の人権団体までが偏見を持っており、普通に暮らす人の中にも、自分の子どもがトランスジェンダー(性自認は男性、身体は女性)の場合に、暴行を受けてでも女性である認識を持てという親がいたということもありました。現在では、トランスジェンダーの方が抱える問題が人権問題と理解され、戸籍の変更や手術・ホルモン治療などが可能になりましたが、要件や費用面での問題は依然存在します。また、嫌悪感を持つ人も多くいます。
 トランスジェンダーは人口のおよそ1%程度でマイノリティーに当たります。マイノリティーが抱える悩みはわかりづらく、また、自分と異なるものに対して、嫌悪感を抱くこと自体を否定する訳ではありません。
 しかし、どのような感情を抱くかは絶対不可侵な自由だとしても、それを他人に伝えて傷付ける自由が無制限に認められることはありません。また、知らないものを知らないまま、ただ周りに流されて非難することは、恥ずかしいことです。
 現状トランスジェンダーの方の抱える悩みの多くは公的な支援や法改正により解決されることが求められていますが、それとは別に、個々人でできることもあります。しかも、特別なことをする必要はありません。
 必要なことは、理解すること、相手の立場に立って考えることであり、これはトランスジェンダーに対しても、シスジェンダーに対しても変わることはありません。
 マイノリティーの方に対して、保護や特権、差別や偏見といった極端な考え方を持たず、普通の相手に対する態度を普通に行うことが大事です。

4 終りに
  今回のコラムは、いつもとは違う形になりました。
 次回のテーマもまたまた未定ですが、皆さんの関心のありそうなテーマで行えればと思います!

(和手)