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刑事弁護とは②

「刑事弁護とは①」では、無罪推定の原則や「疑わしきは被告人の利益に」など、刑事裁判の基本的な考え方を説明しました。今回からは、刑事事件についてより具体的に見ていきます。

〇犯罪行為をしていたら必ず逮捕されるの?
 捜査機関が逮捕をするためには、逮捕の理由と必要性が要求されます。
犯罪行為をしたと疑うに足りる相当な理由があれば逮捕をする理由はありますが、逮捕の必要性があるかは別問題です。逮捕の必要性がなければ、逮捕はされません。
では、逮捕の必要性とはなにか。これは被疑者(容疑者)が逃亡するおそれがあることや犯罪の証拠を隠したり破棄したりしてしまうおそれがあることとされています。したがって、被疑者が逃げる心配がない、証拠が既に確保されている、などの事情があれば、逮捕の必要性がないため、逮捕されません。
反対に、逮捕されないまま事情を聴かれているような場合でも、警察からの連絡をたびたび無視していれば逮捕されてしまう可能性があるということです。

〇逮捕されたらどうなるの?
 逮捕されると最長で72時間にわたり身柄を拘束されます。身柄拘束を継続する必要が無ければ72時間以内に釈放されますが、ほとんどの場合、引き続き身柄拘束がされます。逮捕に引き続く身柄拘束のことは勾留と呼ばれており、最長で20日間に及びます。
 身柄拘束が長引くほど、仕事や私生活への影響が大きくなるため、一刻も早く身柄拘束から解放されることが重要になります。しかし、解放へのハードルは極めて高く、逮捕・勾留された人が何もアクションを起こさない限り、身柄拘束から解放されることはまずありません。
 身柄拘束からの解放に向けた手続きには専門的な知見も求められます。早期の身柄拘束を希望する場合は、早期に弁護士にご相談ください。逮捕・勾留された方本人だけでなく、ご家族などからご相談をお受けすることもできます。

〇逮捕・勾留された人とは自由に会えるの?
 逮捕された人と面会できるのは弁護士のみです。例えご家族であっても、逮捕による身柄拘束の期間中は面会することはできません。
 勾留に移行した後は、弁護士以外も原則として面会が可能です。ただ、自由に面会できるわけではなく、事前に警察署に面会の予約をする必要があり、面会時間は15分程度に制限されるなどの様々な制約があります。また、共犯者がいる場合などは接見禁止が付されることがあり、この場合はそもそも面会自体ができません。接見禁止の一部解除が認められれば面会は可能になります。
 逮捕・勾留された方の状況を詳しく知りたい場合や接見禁止の一部解除を求めたい場合は、ぜひ弁護士へご相談ください。

 今回のコラムは逮捕・勾留などの身柄拘束について説明しました。
 次回は起訴されてから裁判を受けるまでの流れについて説明したいと思います。また、次々回は、被害者側の目線から見た刑事事件の流れを説明する予定です。

(坂井田)