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刑事弁護とは③

「刑事弁護とは①」、「刑事弁護とは②」に引き続き、今回も刑事弁護をテーマに取り上げます。今回は、起訴から裁判までの間のことを説明します。

〇捜査されると必ず起訴されるの?
 まず、捜査が行われたとしても、すべての事件が起訴されるわけではありません。
犯罪白書で公表されている検察庁の終局処理区分構成比を見ますと、公判請求(公開の法廷で審理がされるもの)となるものは1割をやや下回る程度であり、略式請求(書類での審理がなされるもの)となるものは2割をやや上回る程度です。他方、起訴猶予を含む不起訴となるものは6割を超えています。
このように、半分以上の事件が不起訴で終了となっているのが現状です。したがって、捜査されると必ず起訴されるというわけではありません。

〇起訴されると身体拘束されるの?
(逮捕・勾留中に起訴された場合)
そのまま警察署などでの身体拘束が続くケースがほとんどです。起訴後に身体拘束を一時的に解除する制度として「保釈」がありますが、身体拘束を受けている側からアクションを起こさない限りは、保釈が行われることはありません。
 保釈の手続きは裁判所に対して行うことが必要です。身体拘束から解放しても問題ないということを裁判所に納得してもらう必要があるため、法的知識や経験が大きな意味を持ちます。保釈の手続きをお考えの場合は、早期に弁護士へご相談ください。
(釈放後に起訴された場合や逮捕されないまま起訴された場合)
 起訴されたとしても、身体拘束はされないことが一般的です。ただし、繰り返し裁判を欠席した場合などには、出席を確保するための身体拘束(勾引と呼ばれます)がなされることもあります。

〇起訴されてから裁判までの期間は?
 公判請求(公開の法廷での審理がされるもの)の場合、起訴から初回の裁判までの期間は約1~2か月ほどです。略式請求(書類での審理がされるもの)は、起訴から2週間以内に裁判が行われます。
 公判請求の場合、時間に余裕があるようにも見えます。しかし、実際には、公訴事実に争いがある事件はもちろん、争いのない事件であってもかなりタイトなスケジュールとなります。例えば、弁護士と被告人ご本人との打合せが必要となるのは当然として、証人との打合せ、検察官提出予定証拠の精査、弁護人提出証拠の収集・整理、被害者との示談が未了の場合は示談成立に向けた交渉などを行う必要があります。  充実した弁護を実現するためには、起訴前の段階から弁護士が関与することが望ましいと言えます。検察官から「起訴する予定です」と伝えられたような場合は、お早めに弁護士へご相談ください。
 今回のコラムはここまでです。
 次回は裁判当日の流れなどをご説明する予定です。

(坂井田)