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 地震保険について 2011年4月

 この度の東日本大震災では、大変多くの方が被害に遭われ、現在もなお避難生活を余儀なくされている方々に対し心よりお見舞申し上げますと同時に、一日も早い復興を所員一同心よりお祈り申し上げます。
 また、福島第一原子力発電所の放射能漏れによる被害、計画停電等につきましても、日本全体で風評被害の防止や節電に協力していきたいと強く思う次第です。

 そこで、今回のコラムは地震や津波により家や家財道具を失った方々、及び今後の地震対策のための知識として、地震保険について少しだけお話しさせていただきたいと思います。

まず、そもそも地震保険とは、民間の保険会社各社にもよりますが、地震・噴火・津波を原因とする火災、損壊、埋没、流失によって居住用建物及び生活用の家財について損害が生じた場合に保険金を支払う損害保険のことを言います。
 日本では1966年に「地震保険に関する法律」が制定され、これに規定される保険のことを言います。

 地震保険は、火災保険とセットになっており、地震保険だけに加入することはできません。ですから、地震による火災によって家を失っても、地震保険に加入していないと保険金が支払われない可能性がある点に注意が必要です(日本では、地震大国でありながら加入率が低いそうです)。
 また、家財については、自動車や宝石(30万円以上の物)、美術品は対象から除かれています。今回の津波では、多くの自動車が流されて大破している映像が連日報道されていましたが、これらは自動車保険の対象です。

 次に、気になる保険金額ですが、地震損害は広範囲に及び、甚大な被害に対応しなければならないことが多いため、政府が再保険することとなっており、保険金の支払いの確実性が担保されています。そして、火災保険の保険金額(建物の時価額)の30~50%に相当する範囲内で保険金額を設定することになりますが、建物については上限が5000万円、家財については1000万円までとなっています。
 その算定にあたっては、「全損」、「半損」、「一部損」に区分けされ、いずれに該当するかは損害保険会社の専門の調査員が調査・判定することになります。なお、今回の地震は、特例措置として航空写真や衛星写真を用いて効率的な「全損地域」の認定をするそうです。

 一方の保険料については、各都道府県によって異なり、木造か非木造か、築年数はどれくらいか、耐震強度によっては割引があるなど細かく決められています。

 詳しくは、社団法人日本損害保険協会のホームページをご参照下さい。


 気になるのは、今回の地震や津波による被害が全額填補されるかについてですが、1回の地震について支払われる保険金の総額は5兆5000億円と決められており、それ以上の場合には減額されてしまうことです。一応、関東大震災クラスの地震なら全額支払い可能と想定されていますが、今回はそれを越える地震規模であり、しかも「全損」の建物が多いです。
 また、地震保険に加入していなかった被災者や、万一、保険金が減額される事態となった場合には、政治主導で救済するなどの政策が強く求められるのではないでしょうか。

(文責:宮下)