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わが街のわが裁判所 ―地域司法計画について―

今から十数年前までは,裁判や司法のことは国の仕事だから,口は挟むべきではない,という考え方が普通でした。しかし,司法もまた立法や行政と同じ三権分立の重要な柱であり,市民の参加が必要であるという考え方が広まりました。

 そして,それは司法制度改革の中で,裁判員裁判,労働審判,裁判所委員会,裁判官評価制度,検察審査会の強化などに具体化されて実現されました。

 この流れは,弁護士会の中で更に発展し,各地域の司法は各地域の住民にとって利用しやすく,分かりやすく,頼りがいのあるものでなければならないのであって,そのために地域の司法をよりよいものにするための計画を立てようということになりました。いわば司法の地方分権という視点です。

 全国には,長野県弁護士会のような会(これを単位弁護士会といいます)が52あり(各府県に1,東京に3,北海道に4),この各単位会などで一斉に地域司法計画を作り,その実践に取り組んできました。
 長野県での取り組みは早く,またその計画書は,県下の司法の現状を分析し,その上に立って裁判所,検察庁の人的,物的拡充,具体的には裁判官,検察官の増員や,弁護士へのアクセスの保障や法律相談の充実などを提言しています。
 これは主に,長野県弁護士会の中の「地域司法計画推進委員会」が担当しています。この委員会では現在,裁判官,検察官の増員,長野県には長野市にある裁判所(これを本庁といいます),上田,佐久,松本,諏訪,伊那,飯田にある裁判所(これを支部といいます)と,これに対応する検察庁が置かれていますが,これらのすべての支部に裁判官や検察官が常駐したり,必要な数が配置されるように求めています。
 とりわけ,労働審判が本庁でしか行われないため,南信の市民の利用に支障があることから,松本の裁判所でも利用できるように精力的に活動しています。
 現在,県議会の全会派を訪問して,実現のための請願活動を行っています。


(文責:武田芳彦)