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振込め詐欺の手口(2)… 2014年4月

 皆さんは劇場型詐欺というものをご存知でしょうか。 複数人で構成される詐欺グループのメンバーが、ターゲットとなる消費者に入れ替わり立ち代わり電話を掛けて詐欺に巻き込んでいくものです。
以下では、劇場型詐欺にありがちな事例をご紹介します。


 突然、自宅に未公開株式、社債などへの投資を勧誘するパンフレットが送り付けられて来ます。そのパンフレットには、優良企業である○○社の株式に投資しませんか、値上がりすること間違いなしですなどと書かれています。
 しかし、このようなパンフレットだけで騙される人は殆どいません。
 ここからが劇場型詐欺の始まりです。
 パンフレットが送り付けられた数日後、○○社とは別の投資会社△△社と名乗る会社から電話が入ります。
 △△社の担当者は、「あなたのもとに○○社のパンフレットと,株式の申込書が届いていませんか。」、「○○社は一部上場間近の優良企業で,その株式は値上がりすること間違いなしです。たいへん貴重なものです。」、「○○社の株式は、パンフレットが送られて来た,限られた人しか買うことができません。あなたはパンフレットを送られた100人のうちの1人です」、「当社の代わりに○○社の株式購入を申し込んでくれませんか」、「購入代金はあなたに代わり当社が支払います。あなたは申し込んでくれるだけでよいのです。」「300万円分の株式を購入してくれたら、当社がこれを500万円で買い取ります。」、「あなたは自分のお金を一切出すことなく、株式の売却利益200万円を得られます。」と、自分でお金を出さなくてよい、あなたは申込書を書いて出すだけでよいなどと都合の良いことばかり言われます。
 執拗に頼み込まれたうえ、一切お金を出さなくてよいと聞くと、これに引っ掛かる人が出てきます。
 
 騙された人が株式の申込書を○○社に送ってしまうと、ここからますます詐欺に巻き込まれることになります。
 申込書を送った数日後、△△社の担当者から緊急の電話が入ります。それによると、△△社に監査が入った、株式の申込者と購入代金を支払った人が異なるため違法取引であると指摘されてしまった、このままだとあなたも共犯とみなされて逮捕されてしまう、東京地検特捜部も動き出している、緊急事態だ、などと本人を突然犯罪に巻き込む内容です。
 その直後、□□警察署の刑事と名乗る警官から電話が来て「△△社の不正を捜査しているがあなたは何か知らないか」などと聞かれます。消費者は、自分が犯罪に加担したという負い目から極度の不安に陥ります。
 その直後、再び△△社の担当者から電話があり、「とりあえず300万円はあなたが実際に払い込み直してくれれば、違法性は解消されます」、「今日の15時までに300万円を振り込んで下さい!」などと言われます。また、犯罪が外部に漏れないよう、親類を含め誰にも相談しないようにと言われます。
 続けて△△社の顧問弁護士と名乗る人から電話があり、「不正な申し込みの違法性を解消するためには、あなたが直接300万円を支払う必要がある」などと説明されます。
 消費者は、共犯者になってしまったという恐怖と、周囲に相談したり考える時間的余裕を与えられないことでパニックになってしまい、300万円を振り込んでしまいます。
 
 当然、電話を掛けてくる△△社の担当者、警察官、弁護士は同じ詐欺グループのメンバーです。消費者は、様々な役回りの人から入れ替わり立ち代わり騙され、詐欺に巻き込まれていくのです。

 上記の事例はあくまでも一例です。投資詐欺にも様々なパターンがあります。
 このような詐欺の方法があると知っておくことが、騙されないための一番の予防になります。

(文責:江口)