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アルバイトやパートの解雇… 2014年12月

 アルバイトやパートはいつでも仕事を首にできる,と思っている方はおられないでしょうか。 アルバイトやパートも,労働法上その地位が一定程度保護されています。


まず,契約期間の途中の解雇(普通解雇)は,「やむを得ない事由」がなければできません(労働契約法17条)。この「やむを得ない事由」というのは非常に厳しい要件で,解雇をする合理的理由と相当性が厳格に要求されます。例えば,多少覚えが悪い,作業効率が少し悪い程度では解雇することができません。
また,アルバイトやパートを懲戒解雇する場合にも厳格な要件があります。まず,(1)会社の就業規則又は個別の労働契約書に懲戒解雇の規定が存在し,それが労働者に周知されていなければなりません。そして,(2)当該アルバイト又はパートの行為が規定上の懲戒事由にあたる必要があります。さらに,(3)その懲戒に客観的な合理的理由と処分の相当性が具備されている必要があります(労働契約法15条,16条)。
したがって,例えば,1,2度遅刻した程度では懲戒解雇することはできません。
なお,アルバイトやパートなどの有期労働契約では,契約期間が満了する時点で雇い止めにすることは原則として可能です。もっとも,当該アルバイト・パートとの間で契約更新を繰返している等の場合は,雇い止めが制限されることがあります(労働契約法19条)。
なお,やむを得ない事由がありアルバイトやパートを即時に解雇する場合,原則として30日分の解雇予告手当を支払う必要があります(労働基準法20条)。日雇いのアルバイト等の場合は除きますが,試用期間中のアルバイト・パートでも雇用期間が14日を過ぎると解雇予告手当を支払う必要があります(同法21条)。