夏の風物詩 2010年9月

 今年の夏はとにかく暑かったですね。日本各地で連日の猛暑日を記録し、熱中症で病院に搬送されてしまう方も多い夏でした。夏と言えば、海や山、行楽地へ夏休みやお盆休みに出かけた人も多かったことでしょう。
 かき氷、風鈴、扇風機、肝試し、花火などといった夏の風物詩も暑さをしのぐために昔から伝わる先人達の知恵と言えます。

 私は、小さい頃から、夏に行われる花火大会に行くのが大好きです。日本一有名な隅田川の花火大会、日本一美しいと言われる水上スターマインで有名な諏訪湖花火大会、世界一大きくてギネスにも載る新潟・片貝の4尺玉花火も見に行きました。
 隅田川花火大会は、花火を見に行くというよりも人を見に行くような状態で、花火がビルに隠れてしまうのも残念でした。「一度行けばいいかな」と思ってしまいました。
 地元、諏訪湖花火大会は、隅田川をしのぐ約4万発の打ち上げ数を誇るだけあって、迫力満点。とても感動的な花火でした。
 それに、片貝の直径800メートルの花火の大きさには度肝を抜かれたことを今でもよく覚えています。

 しかし、最近、そのいずれをもしのぐ感動的な花火に出会うことができました。
 場所は私の出身地近くの長野県下伊那郡阿南町。毎年7月第4土曜日に開催される深見の花火と呼ばれる花火大会です。
 何が凄いのかと言えば、その迫力です。周囲をすり鉢状の山に囲まれた「深見の池」で打ち上げるため、その花火の爆風と振動がそのまま体に伝わるのです。花火は見るだけではなく、体で感じるものだと初めて気付かされた花火大会でした。
 打ち上げ数は少ないのですが、その分、一発一発がとてもきれいです。長野県は打ち上げ花火の生産量日本一といわれ、その分、地元の人の花火を見る目も肥えていて花火の質が高いそうです。その中でもこの花火大会の花火はきれいでした。観客も他の花火大会に比べて少なく、池の縁で寝転がって見れば自分の真上に花火を見ることが出来るのもこの花火の醍醐味といえるでしょう。
 また、池の真ん中に目をやると、筏(いかだ)に乗った神主さん達が神事を行っており、雅楽の音色も相まって現代を超越した幻想的な世界に引き込まれてしまうのです。

 私は、この花火大会の存在を知ってから何人もの友人を連れて行きましたが、みんな口々に「これまで見た花火の中で一番すごかった」と言ってくれています。
 もし、機会があったら、是非皆さんも一度足を運んでみてはいかがでしょう。
 ただ、あまり多くの人に知られてしまって観客が押し寄せてしまうと困る反面、この花火の良さを多くの人に知ってもらいたいという思いが交互に私の心を揺さぶります。
 ・・・このように、心まで振動させてくれる花火大会なのです。

(文責:宮下)