TOP > 今月のコラム一覧 > 82

相続税に関するハナシ①

 相続の開始に伴って、ときに悩まされるのが相続税です。平成27年以降の相続については、基礎控除が5000万円から3000万円に縮小されたこともあり、これまでより相続税の問題で頭を痛めるご家庭が増えたといわれています。

税金 イメージ写真 ところ、そもそも「相続税」という制度はいつできたか知っていますか?
相続税という制度が創設されたのは、明治38年(1905年)、当時の日露戦争の戦費調達のために創設されたものです。しかし、日露戦争が終わっても、そのまま相続税は残り、戦後の民法改正に伴い相続制度が大きく変わっても現在も残っています。

 現在における相続税の社会政策的な課税根拠としては、「戦費調達」ではなく、「富の再分配」があげられています。要は、特定の家族だけが相続によって多額の財産を永久的に保持することは認めずに、社会に還元しようという発想です。戦後間もない時期には、財閥の復活を阻止するためにGHQから勧告された超高率の相続税(なんと最大で90%の税率)の時期もありましたが、「富の再分配」も行き過ぎるといけないということで、税率の緩和や基礎控除の拡大、配偶者の軽減制度、納税猶予、小規模宅地の特例制度など徐々に緩和されてきました。
 今年の大河ドラマの主人公西郷隆盛の言葉、「子孫に美田を残さず」は、理想ではありますが、現実には残される家族のために遺産相続が必要です。その場合には、早い段階から相続税の納付に必要な現金預金はしっかり確保しておく必要があります。

(一由)