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広告を出す場合に気を付けるべき法令 ~健康増進法・薬機法編~
開発した商品をできるだけ多くの方に手を取ってもらいたい、と考えるあまり、広告で行き過ぎた表現をしてしまった場合、様々な法令に抵触するリスクがあります。
今回は、健康食品やサプリメントなどの商品の公告に特に関係がある健康増進法と薬機法(正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」)をご紹介します。
1 健康増進法
健康増進法は、「我が国における急速な高齢化の進展及び疾病構造の変化に伴い、国民の健康の増進の重要性が著しく増大していることにかんがみ、国民の健康の増進の総合的な推進に関し基本的な事項を定めるとともに、国民の栄養の改善その他の国民の健康の増進を図るための措置を講じ、もって国民保健の向上を図ることを目的」として定められています。
健康増進法では、食品として販売に供する物について、健康の保持増進の効果や含有する食品又は成分の量、特定の食品又は成分を含有する旨、熱量などについての誇大表示を禁止しています(同法65条1項)。例えば、表示全体から見て、その食品を摂取するだけで、特段の運動や食事制限をすることなく、短期間で容易に痩せられるかのような表示をすることは、健康増進法に違反するものと考えられます。
消費者庁が「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項」を公表しておりますので、これを参考にしながら広告内容を検討していくことが望ましいと言えます。
2 薬機法
薬機法は、「医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品(以下「医薬品等」という。)の品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止のために必要な規制を行うとともに、指定薬物の規制に関する措置を講ずるほか、医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的」として定められています。
薬機法では、医薬品等について、誇大広告等の禁止(同法66条)、特定疾病用の医薬品及び再生医療等製品の広告の制限(同法67条)及び承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止(同法68条)が定められています。例えば、キシリトール入りガムにつき「歯の再石灰化を促進する働きもあります」と表示した広告が薬機法違反とされた事例があります。
厚生労働省が「医薬品等適正広告基準」を定めており、その実務的な解説として「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等」を公表しておりますので、これを参考にしながら広告内容を検討していくことが望ましいと言えます。
広告を考える際は、どうしても「売りたい」という思いが先行してしまいがちです。しかし、行き過ぎた表現をすれば、上述のように法令に違反することになります。法令違反があれば、行政処分や販売停止、最悪の場合は刑事罰の対象となることもあります。
広告に関する規制は数多くありますので、広告の内容に少しでも不安がありましたら、ぜひ弁護士法人長野第一法律事務所へご相談ください。