ブログ
建設業特集15 建設工事の施工②~下請業者との関係~
今回は建設工事施工の際の注意点について、説明していきます。
前回は、元請業者がしっかり施工体制を把握しなければならないという話でした。
今回は、元請業者の他の義務のうち施工現場における下請業者に対する義務について説明します。
建設現場は、複数の業者が入るのが一般的です。トラブル回避のために元請業者は十分に確認しておきましょう!
※ 以下、「建設業法」は、「法」、「建設業法施行規則」は、「規則」といいます。
1 下請業者の指導義務
建設現場には、様々な規模の業者が入ります。これらの業者の中には、法令の理解が十分でない業者もいる可能性があります。
そこで、法24条の7は、特定建設業者が元請業者となる場合には、下請業者に対して、法令に違反しないよう指導するよう努める義務を課しています。
2 下請業者の違反是正
1で指導したにもかかわらず、下請業者が法令違反をした場合は、特定建設業者は、違反の是正を行う必要があります。
具体的には、当該違反業者に対して、違反の事実を告げて、是正を求めることになります。
当該違反業者が是正に従わない場合は、特定建設業者は、違反業者に建設業許可を与えた行政庁に対し、通報する義務があります。
3 見積条件と現地条件が異なる場合の対応
こちらに関しては、直接規定した条文はありませんが、法18条の対等公正、信義誠実の原則から導かれるルールになります。
法的な規制はありませんが、条件が異なる場合に元請業者の口頭指示のみで進めると後にトラブルになるため、可能な限り条件が異なる場合の工事変更の指示・内容、代金変更の内容、代金精算の方法については、書面等記録が残るもので行い、その内容も対等である必要があります。
4 着手後に工事内容を変更する場合の対応
元請業者は、原則工事着手後に変更が無いよう契約等の中身を設定する必要があります。もっとも、必ずしも事前の計画通りに進むものではありません。
このため、工事の内容を契約当事者間の合意のもと変更することが可能です。
しかし、日常的に見られる口頭による変更の場合は、後にトラブルが生じるおそれが高く、かつ、法19条2項の書面義務にも違反します。
そこで、工事変更については、関係者に正確に事情を説明した上で、変更内容を明記した書面を作成し、当事者双方が記名押印するようにしましょう。
5 今回の説明は、以上になります。後半で説明した工事の変更については、忙しい現場ですと口頭や簡易な書面で済ませがちです。
しかし、後に大きなトラブルにつながることも多々ありますので、しっかりと書面化しましょう!
次回も、施工段階の注意点、特に技術者配置について説明を行いたいと思います。
長野第一法律事務所では、建設請負契約について、ご相談を受け付けています。
元請業者・下請業者のいずれであっても、契約や施工に不安のある方は、所属弁護士が相談に対応しますので、是非長野第一法律事務所にご相談ください。