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建設業特集16 建設工事の施工③~技術者の配置-誰をどこへ?前編-~
今回も建設工事施工の際の注意点について、説明していきます。
前回は、下請業者との関係での注意点を説明しました。
今回から続けて3回の記事では、建設現場においてややこしい技術者配置に関して、前中後編の3編に分けて説明します。
建設現場は、必要な技術者を配置しないと建設業法違反で監督処分の対象になるので、注意していきましょう!
※ 以下、「建設業法」は、「法」、「建設業法施行規則」は、「規則」といいます。
1 技術者の種類
(1)主任技術者(法26条1項)
「工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの」を主任技術者と呼びます。
原則全ての建設現場に配置する必要があります(次の監理技術者を置く場合の元請業者のように例外はあります。)。
☆元請業者・下請業者問わず配置する必要があります。
(2)監理技術者(法26条2項)
以下の工事に関して、発注者から直接請け負った特定建設業者が置かなければならない「工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの」を監理技術者と呼びます。
対象工事
・発注者から直接請け負った元請負人となる工事であり、かつ
・(建築一式工事以外)合計5000万円以上の下請負契約を締結した工事
・(建築一式工事)合計8000万円以上の下請負契約を締結した工事
☆特定の場合に元請業者が設置する技術者なので設置は元請業者のみです。
(3)専門技術者(法26条の2)
専門技術者自体の定義は、法にはありませんが、法26条の2の一式工事を施工する場合に一式工事に含まれる専門工事の施工の技術上の管理をつかさどるものを専門技術者と呼びます。また、許可を受けた建設業の建設工事に付帯する他の建設工事受注する場合に、許可を受けていない工事について設置しなければならない施工の技術上の管理をつかさどるものも専門
技術者と呼びます。※軽微な工事は除きます。
要するに、主任技術者や監理技術者が設置されていても当該工事に詳しくない可能性がある場合は、専門の技術者の設置が必要になるという話です。
一式工事を受注した事業者が専門工事事業者に外注しない場合、許可を
取得していない付帯工事を外注しない場合は、専門技術者(主任技術者と兼
務可能)を設置する必要があります。
☆当該工事を外注でやらない業者は設置が必要です。
2 主任技術者・監理技術者の役割
(1)元請業者の主任技術者及び監理技術者の役割
請け負った建設工事全体の統括的施工管理(施工計画の作成、工程管理、品質管理及び工事の施工に従事する者の技術上の指導監督といった職務)を行う必要があります。
具体的には、
・請け負った建設工事全体の施工計画書の作成
・下請業者の作成した施工要領書等の確認
・設計変更等に応じた施工計画書の修正
・請け負った建設工事全体の進捗確認
・下請業者間の工程調整
・工程会議等の開催、参加、巡回
・請け負った建設工事全体に関する下請業者からの施工報告の確認
・請け負った建設工事全体に関する必要に応じた立ち会い確認
・請け負った建設工事全体に関する事後確認等実地の確認
・請け負った建設工事全体における主任技術者の配置方法等法令遵守や職務遂行の確認
・現場作業に係る実地の総括的技術指導
といったものがあります。
(2)下請業者の主任技術者の役割
こちらは、請け負った範囲の建設工事の施工管理が役割です。
具体的には、
・請け負った範囲の建設工事の施工管理
・元請業者が作成した施工計画書等に基づき、請け負った範囲の建設工事に関する施工要領書等の作成
・元請業者などからの指示に応じた施工要領書等の修正
・請け負った範囲の建設工事の進捗確認
・工程会議等への参加
・請け負った範囲の建設工事に関する立ち会い確認
・元請業者や上位下請業者への施工報告
・請け負った範囲の建設工事に関する作業員の配置等法令遵守の確認
・現場作業に係る実地の技術指導
といったものがあります。
3 長くなりましたので、今回の説明は、以上になります。技術者制度は非常に
複雑なので、一つ一つ確認しながら押さえていきましょう!
次回は、技術者制度について、その資格や配置に関して説明していきます。
長野第一法律事務所では、建設請負契約について、ご相談を受け付けています。
元請業者・下請業者のいずれであっても、契約や施工に不安のある方は、所属弁護士が相談に対応しますので、是非長野第一法律事務所にご相談ください。