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宗教法人法の基礎と実務上のポイント5 不活動宗教法人と行政の姿勢
登記簿上、存在はしているものの長期間にわたって活動の実態がない宗教法人を「不活動宗教法人」(休眠法人とも)といいます。
不活動宗教法人が存在する理由は様々ですが、①法人関係者の高齢化、跡継ぎ不足、②信者の減少等の理由で、宗教活動が困難になった、③災害や朽廃で、礼拝施設が維持できなくなったり、滅失したなどの事情が多いようです。
過疎化等で地域のコミュニティが空洞化すると、神社やお寺を維持することが事実上できなくなってしまうことになります。
事情は様々ですが、いずれにせよ、不活動宗教法人は、そのまま放置すると、目的外事業の実施や税法上の優遇措置を悪用した収益事業の実施など、宗教法人格が悪用されることにもなりうるため、社会上好ましくないことになります。
そこで、文化庁においても、不活動宗教法人対策に力を入れるようになっています。
文化庁によれば令和4年末時点で3329の法人が不活動宗教法人として判断されており、「不活動宗教法人対策マニュアル」を発行したり、都道府県に対し、「宗務行政の適正な遂行について」と題する通知文書を発出し、その中で、不活動宗教法人の判断基準を示したりして、都道府県において適切に対応するよう要請を強めています。
不活動宗教法人に対する行政の基本的な姿勢は、①宗教法人として維持存続する意思がある場合には、適切な活動再開計画を策定し、活動を再開すること、②その意思がない場合には、他の宗教法人との合併、任意解散といった手段で不活動宗教法人を解消するような方向性が示されています。
また、それでも残ってしまう不活動宗教法人については、最終的な手段である宗教法人法上の解散請求を裁判所に請求し、裁判所が解散命令を出すということも手段としてはあり得ます。
数年以上活動実績がない宗教法人については、今後解散請求の申し立ても考えられ、都道府県によっては、弁護士と連携して、本格的な対策に乗り出しているところも出てきているようです。
長野県では、まだそこまでの状況とはなっていませんが、今後はそのような状況も出てくるかもしれません。
宗教法人のご相談については、弁護士法人長野第一法律事務所にご相談ください。