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建設業特集11 下請負契約②~元請負業者の義務1~
今回も、前回に引き続き、発注者から受注した業者が他の業者に建設工事を請け負わせる下請負契約(以下「下請」といいます。)について、説明していきます。
下請には、前回説明した一括下請の禁止以外にも、元請負業者(以下「元請」といいます。)に課された義務があります。
今回は、その義務について説明していきます。
※ 以下、「建設業法」は、「法」、「建設業法施行規則」は、「規則」といいます。
1 下請契約の原則
下請契約も建設工事の請負契約になるので、法第18条、法第19条の適用を受けます。
このため、対等公正・信義誠実・書面にする義務が存在します。
2 不当に低い下請代金の禁止
以前の注文者の義務にも記載していますが、下請業者に対する元請は、注文者になります。このため、法19条の3により、原価を下回る下請は禁止されています。
3 不当な下請代金の減額(赤伝処理)
下請代金自体が不当に低いものでなくても、元請が正当な理由が無いのに下請代金を減額することは、法19条の3違反に該当します。
このため、経費等を下請代金から差し引く赤伝処理をする場合は、
① 元請・下請業者の協議・合意
② 明確な見積もり条件・契約書面の提示
③ 差し引く額が過剰で無いことの確認
の3点を行う必要があります。
4 不当な使用資材などの購入強制の禁止
注文者同様、法19条の4により、下請業者の利益を害する購入強制は禁止されています。
5 下請代金の支払い時期
元請は、出来形部分に対する支払又は完成後の支払を受けた場合、支払を受けた日から1ヵ月以内かつできる限り短い期間内に支払わなければなりません(法24条の3第1項)。また、前払金を受けた場合は、必要な費用を前払金として下請業者に支払うよう適切な措置を講じる必要があります(同条3項)。
これらに違反すると、国土交通大臣または都道府県知事により公正取引委員会に適切な措置が求められ、同求めを受けた公正取引委員会から、措置が講じられるおそれがあります。
6 元請は、発注者との間では請負業者、下請業者との間では、注文者となります。
このため、注文者が負うべき義務も負うことになります。また、3と5に記載の事項は、元請や孫請に出す下請業者が固有で負う義務になります。
次回も引き続き、下請負契約について説明していきたいと思います。
元請業者・下請業者のいずれであっても、契約に不安のある方、契約トラブルを抱えている方は、所属弁護士が相談に対応しますので、是非長野第一法律事務所にご相談ください。