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インターネット上に広告を出す場合の留意点
現在では、インターネット上に無数の広告が出されており、企業のマーケティング戦略上不可欠なものになっていると言えます。
インターネット上の広告もあくまで広告ですので、法的に注意すべき点としては、チラシやパンフレット、テレビなど既存メディアでの広告と大きく変わりはありません。
もっとも、インターネット広告ならではの問題もありますので、ご説明します。
1 ドメイン名
ドメインとは、インターネット上の住所を指すものと説明されます。例えば、当事務所のホームページのURLは「https://www.naganodaiichi-lo.jp」であり、このうち「naganodaiichi-lo.jp」がドメインです。
ドメインは比較的簡単に取得できるものであることもあり、商品名やサービス名などをドメインに設定することも可能です。また、ドメインは原則として先着順で取得できるものですので、有名な商品・サービス等の名称を第三者がそのままドメインとして取得することも可能です。
しかし、有名な商品・サービス等の名称を無関係の第三者がドメインとして自由に利用できることになれば、当該商品・サービス等の知名度を利用した営業がなされてしまうことや、風評被害が発生することなどが考えられます。
そこで、不正競争防止法は、「不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するものをいう。)と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為」を不正競争として定義し、差止請求や損害賠償請求、信用回復措置請求を行うことができるとしています。
ドメイン名を取得する際は、不正競争防止法に抵触しないように注意することが必要です。
2 ステルスマーケティング
ステルスマーケティングは、実際は広告であるにもかかわらず、広告であることを隠すこととされています。例えば、事業者が、インフルエンサーにお金を渡して自社商品を勧める内容のSNS投稿をするよう依頼し、その投稿を自社のホームページで「使用者の声」などとして無関係な第三者の感想のように掲載する場合はステルスマーケティングに該当します。
インフルエンサーに商品を取り上げてもらえば、想定する顧客層に効果的にアプローチができるため、このような方法での広告は効果的だと言えますが、ステルスマーケティングに該当することが無いように慎重な検討が必要です。
ステルスマーケティング(ステマ)については、2023年10月から規制がなされています。
一般消費者が、商品を自主的かつ合理的に選択できるようにすることを目的とした、消費者庁が定める不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)第5条第3号に基づく規制です。
景品表示法の規制対象には以下のようなものがあります。
- 新聞
- 雑誌
- テレビ・ラジオCM
- バナー広告
- アフィリエイト広告
- ポータルサイトの口コミ
- SNSの投稿
- チラシ、パンフレット
- セールストーク
ステマについては、芸能人を始めとしたインフルエンサーが、利益を得ていたことを隠してPRを発信するなどが倫理的に問題のある行為とされてきましたが、ステマ規制が施行されたことではっきりと違法行為となりました。
3 注文を受け付ける際の留意点
広告そのものではありませんが、インターネット上で広告を行う場合、注文の受付もインターネット上で行うことが想定されます。
インターネット上で注文を受け付けて商品・サービス等を提供することは、特定商取引法の通信販売に該当します。また、インターネット上で注文をする場合、誤操作などにより意図せず申込みをしてしまうケースもあることから、電子消費者契約法において消費者の保護が図られています。
インターネット上での注文を受け付ける場合は、これらの法令も意識しながら申込フォームを作成することが必要です。
インターネット上の広告であっても、他の媒体での広告と同様に様々な規制があります。そのうえで、ここまでご説明した点についても注意を払っていただくことが必要になります。
広告の内容だけでなく、注文受付の方法についても留意すべき点がありますので、疑問に思う点があれば、事前に長野第一法律事務所へご相談ください。(坂井田)