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就業規則は一度作ったら心配ない?

一定人数以上の従業員が在籍する会社については、就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出る義務があります(労働基準法89条)。そのため、就業規則を作成されている事業者がほとんどかと思われます。

しかし、法律上の義務であるため、仕方なく作成することにし、インターネットで検索して出てきたモデルをそのまま流用している、という事業者もおられるかと思われます。

また、起業時に就業規則を作成したものの、それ以降は放置している、ということもあるかもしれません。

就業規則は、労働条件や職場のルールを定めるものであるとともに、懲戒処分などの従業員に対する処分の根拠にもなるものであり、極めて重要なものです。

就業規則は、従業員に不利益な効果を及ぼすものは、遡って適用することは基本的にはできませんので、いざ何か問題が起きてから就業規則を改定したのでは対処できないことがあります。

これを機に、就業規則を見直してみませんか。

 

1 就業規則に記載する事項

 就業規則には、労働時間、賃金、退職(解雇事由を含む)に関係する事項を必ず記載することとされています。これらは絶対的必要記載事項と呼ばれます。

 また、当該会社で取り決めとして設けるのであれば就業規則に記載しなければならないものとして、退職手当、安全衛生、表彰・制裁などに関係する事項があります。これらは相対的必要記載事項と呼ばれます。例えば、懲戒処分に関する定めを就業規則に置いていない場合は懲戒処分を行うことはできず、懲戒処分を強行すれば違法な処分とされることになります。

 

2 制度導入に伴う見直し

 現代社会においては、働き方が多様となっています。これに伴い、労働時間を柔軟にするフレックスタイム制や、繁忙期・閑散期に合わせた労働時間を設定できる変形労働時間制などを導入する事業者もあります。

 フレックスタイム制を導入する場合は就業規則(これに準ずるものを含みます)に「始業及び終業の時刻をその労働者の決定に委ねること」を規定する必要があります(労働基準法32条の3)。変形労働時間制についても、一定の場合は、就業規則に必要事項を定めておくことが必要とされます。

 

3 法令改正に伴う見直し

 労働基準法をはじめとする労働関係の法令は頻繁に改正がなされます。近年では、同一労働・同一賃金や賃金割増率に関する改正がなされています。

 就業規則では、これらの改正を必要に応じて反映させていく必要があります。言うまでもありませんが、改正を反映していない就業規則は違法なものであり、労働基準監督署から指導等を受ける可能性もあります。

 

 

 就業規則の見直しはしたいけど考える時間が無い!という場合は、弁護士などの専門家に検討を委ねていただき、本業に集中していただくことがおすすめです。

 見直しを検討されている場合は弁護士法人長野第一法律事務所へご相談ください。

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