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固定資産税評価制度について
1 固定資産税評価制度とは
固定資産税(地方税法第343条以下)は、市町村が課税主体となり、土地・家屋・償却資産に対して課される税金です。その課税標準額を決めるために行われるのが「固定資産税評価制度」です。つまり、「いくらの評価額に基づいて課税するか」を決める制度です。
2 評価の対象
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土地
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宅地、農地、山林、原野などすべての土地。
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市町村が国の示す「固定資産評価基準」に基づき評価する。
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家屋
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建物(住宅・店舗・工場など)。
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再建築価格方式(同じものを新築した場合に要する価格を算定し、経年減価を反映して評価)。
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償却資産
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土地・家屋以外の事業用資産(機械設備、構築物など)。
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納税者が毎年1月31日までに市町村へ申告し、その申告内容に基づき評価される。
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3 評価の仕組み
(1) 基準
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「固定資産評価基準」(総務省告示)に基づく。
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評価額は「時価」(適正な時価)を基本とするが、土地については地価の急騰を抑えるため、課税標準の特例がある。
(2) 評価替え
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土地・家屋については 3年ごと に評価替えを実施(地方税法第388条)。
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直近では令和6年度(2024年度)が評価替えの年。
(3) 評価額の修正
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評価替えの間でも、新築家屋や分筆・合筆等の変動があれば適宜修正される。
4 課税標準の特例
土地については、急激な負担増を避けるために以下のような特例措置がある。
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住宅用地の課税標準の特例(地方税法第349条の3)
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小規模住宅用地(200㎡以下):評価額の1/6
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一般住宅用地(200㎡超部分):評価額の1/3
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負担調整措置
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地価上昇局面で税負担が急増するのを抑制する仕組み。
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5 不服申立て制度
納税者が評価額に不服がある場合、固定資産評価審査委員会(市町村に設置された独立機関)に審査申出ができる(地方税法第432条)。
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申出期間:固定資産課税台帳の縦覧期間(原則4月1日~最初の納期限まで)。
6 評価額と課税額の関係
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評価額(市町村が決定)
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課税標準額(特例を反映して決定)
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税率(標準税率は 1.4%、条例で0.3~2.1%の範囲で変更可能)
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固定資産税額 = 課税標準額 × 税率
7 最近の動向
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都市部の地価上昇と地方部の地価下落が二極化しているため、負担調整措置の在り方が議論されている。
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住宅用地特例については「都市部の大地主に有利ではないか」という見直し論が国レベルで浮上している。
まとめ
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固定資産税評価制度は、市町村が土地・家屋・償却資産を評価し課税基準を決める仕組み。
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3年ごとに評価替えを行い、課税標準額は特例により大幅に軽減される場合がある。
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納税者は評価額に不服がある場合、審査申出を行うことができる。
相続・遺産分割事件において、「不動産の評価をどのように考えるか」は重要なポイントとなることがあります。
特に土地の価格については、固定資産税評価制度に基づく評価額、相続税評価額、公示地価、実勢取引額など様々な評価や考え方があります。
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