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建設業特集17 建設工事の施工④~技術者の配置-誰をどこへ?中編-~

今回も建設工事施工の場面における技術者制度について、説明していきます。

前回は、各技術者の名称と役割について説明しました。

今回は、技術者の資格や配置について説明します。

資格を把握していないと思わぬところで建設業法違反となるおそれもあるので、注意していきましょう!

※ 以下、「建設業法」は、「法」、「建設業法施行規則」は、「規則」といいます。

 

1 技術者の資格

(1)主任技術者の資格

   主任技術者になるためには、以下の資格が必要です。

  ア 対象となる工事の種類に応じた関連学科の高校卒業後5年以上の実務経験があること

  イ 対象となる工事の種類に応じた高等専門学校もしくは関連学科の大学を卒業後3年以上の実務経験があること

  ウ 対象となる建設工事の種類に応じた10年以上の実務経験があること

  エ 一定の資格取得者(当該建設工事の種類に応じる必要がある)

   ・一級、二級建築士

   ・一級、二級施工監理技士

   ・一級、二級施工技士

   ・技術士 

   など。

  オ 上記ア~エと同等以上の知識、技術、技能があると国土交通大臣が認める者(制度施行時の特例なので、今日特に認定はされていない。)

(2)監理技術者の資格

   監理技術者の資格は、全体として、主任技術者より厳しいものとなってい」ます。

  ア 当該建設工事の種類に応じた高度な技術検定合格者、免許取得者であること

  ・一級建築士

  ・一級施工監理技士

  ・一級施工技士

  ・技術士

    など。

  イ 主任技術者の要件ア、イ、ウに該当し、かつ、当該工事の種類に応じて、元請業者として4500万円以上の工事を2年以上指導監督した経験があること

ウ 上記アイと同等以上の能力があると国土交通大臣が認める者(制度施行時の特例なので、今日特に認定はされていない。)

(3)専門技術者の資格

   専門技術者の資格は、当該専門工事における主任技術者の資格と同じです。

2 技術者の配置等~配置・専任・常駐~とは?

(1)技術者の配置

   技術者の配置とは、工事現場に前回の記事で記載した役割をする者として配属されることを指します。役割が果たせれば良いので、現場が稼働中に常に現場にいる必要はなく、テレワーク等をして複数の現場を兼務することが可能です。

(2)技術者の専任

   公共性のある施設や多数の者が利用する施設もしくは工作物に関する重要な施設といった「公共性のある工作物の重要な工事」については、主任技術者や監理技術者を工事現場ごとに専任する必要があります。

  • 公共性のある工作物の重要な工事とは?

   ① 国又は公共団体が注文者である施設または工作物に関する建設工事

   ② 鉄道、道路、河川、飛行場、港湾施設、上下水道、消防施設、電気施設、ガス施設、学校、図書館、美術館、病院、百貨店、ホテル、共同住宅、公衆浴場、教会、工場等の建設工事

   ③ 上記①又は②で請負金額が3500万円(建築一式工事の場合は7000万円)以上の工事

   が該当します。

  ⇒ つまり、請負金額3500万円(建築一式工事7000万円)以上の個人住宅、長屋を除くほとんどの工事が該当します。

   ☆民間工事も含まれます。

  ⇒ 専任とは、現場に常駐するというのではなく、他の工事現場に係る職務を兼務せず、常時継続的に当該工事現場に係る職務にのみ従事していることを指します。

  • 現場の専任技術者が営業所の専任技術者を兼務することも原則できません。
  • 現場が密接していてかつ、工事内容にも密接な関連がある場合は、主任 技術者の場合は、兼任可能です(監理技術者は、NG)。

(3)常駐

   現場が稼働している場合は、現場に常にいることです。現場代理人は、契約上常駐を求められることが多いです。

3 長くなりましたので、今回の説明は、以上になります。「配置」や「専任」「常駐」と紛らわしい用語も多いので、しっかりおさらいしていきましょう!

  次回で、技術者制度に関する説明は終了となります。次回は具体的な場面を想定して説明したいと思います。

 

 長野第一法律事務所では、建設請負契約について、ご相談を受け付けています。元請業者・下請業者のいずれであっても、契約や施工に不安のある方は、所属弁護士が相談に対応しますので、是非長野第一法律事務所にご相談ください。

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