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建設業特集19 建設業における法令遵守①~建設業法違反の制裁-監督処分とは(指示処分・営業停止処分編)-~
今回からは、建設業者が守らなければならない法令について、違反した場合のペナルティを説明していきます。
建設事業者にとってのペナルティは、企業存続にかかわるものも多くあります。違反を絶対にしないよう、学んでいきましょう!
※ 以下、「建設業法」は、「法」、「建設業法施行令」は、「令」、「建設業法施行規則」は、「規則」といいます。
1 監督処分とは?
監督処分とは、法28条に規定されている国土交通大臣又は都道府県知事(以下併せて「監督官庁」といいます。)が建設業者に対し、行うことのできる指示処分(同条1項、4項)、営業停止処分(同条3項、5項)、許可の取消処分(法29条)(次回解説)の3つを指します。
2 指示処分とは?
・ 建設業者が建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき、又は危害を及ぼすおそれが大であるとき。
・ 建設業者が請負契約に関し不誠実な行為をしたとき。
・ 建設業者(法人であるときは、法人又はその役員等)又は政令で定める使用人がその業務に関し他の法令(入札契約適正化法及び履行確保法並びにこれらに基づく命令を除く。)に違反し、建設業者として不適当であると認められるとき。
・ 建設業者が一括下請を行ったとき。
・ 主任技術者や監理技術者による施工監理が著しく不十分であり、かつ、変更することが公益上必要であるとき。
・ 無許可建設業者や営業停止中・営業禁止の者と契約したとき
・ 特定建設業者以外が特定建設業者のみ許容される金額以上で下請負契約を締結したとき。
・ 履行確保法上の義務を怠ったとき。
・ 上記のほかに建設業法違反があった場合
以上のような場合に、監督官庁が違反状況是正のために必要な指示を行うことが、指示処分に当たります。
(指示処分の具体例)
・特定建設業の許可を受けずに基準額以上の下請契約を締結した場合
⇒ 処分内容を役職員に周知し、研修計画を作成して必要な研修を行うこと、これらの措置について速やかに文書で報告することを指示内容とした事案があります。
・十分な土砂流出防止措置をとらずに施工したことにより土砂流出被害を周囲に及ぼした場合
⇒ 法令を厳守し、再発防止のための万全の措置をとることを指示内容とした事案があります。
指示処分に従わない場合は、次の営業停止処分が出されるので、絶対に従うようにしましょう。
3 営業停止処分とは?
上記の指示処分発令要件に該当する場合又は、指示処分に従わない場合は、一年以内の営業停止処分が出されます。
※ 指示処分を飛ばして、いきなり営業停止になることもあります。
具体的な期間や指示処分・営業停止処分の別は、各監督官庁が公表しているので、違反しないよう事前に確認しておきましょう。
◎ 営業停止期間中に行えない行為
・新たな請負契約の締結(仮契約を本契約にする場合を含む)
・工事追加の契約変更
・営業停止期間満了後における新たな工事の入札、見積もり、交渉等
◎ 営業停止中でも行える行為
・許可や審査の申請
・処分前に締結された契約に係る工事の施工
・施工の瑕疵・アフターサービス保証等に基づく修繕工事の施工
・災害時における緊急を要する工事の施工
・請負代金の請求・受領・支払い
・企業運営上必要な借り入れ
4 指示処分・営業停止処分の具体的な事例・基準について
指示処分や営業停止処分がされた場合は、国土交通省のネガティブ情報等検索サイトや都道府県の監督処分に関するホームページに掲載されることになります。処分基準等も記載されているので、是非参考にしてください。
◎国土交通省のネガティブ情報等検索サイト
https://www.mlit.go.jp/nega-inf/cgi-bin/search.cgi?jigyoubunya=kensetugyousya
◎長野県の建設業者の監督処分に関するホームページ
https://www.pref.nagano.lg.jp/kensetsu/infra/kensetsu/kyoka/shobun.html
長野第一法律事務所では、建設業の法令遵守について、ご相談を受け付けています。
事業者向けの研修を行うことも可能ですので、建設業法等に関する遵守体制の向上を希望の場合は、是非長野第一法律事務所にご相談ください。(和手)