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在留資格「特定技能1号・2号」とは?~特に介護分野について
人手不足が深刻化する中、外国人材の受入れ制度として重要性を増しているのが、在留資格「特定技能」です。
特定技能は、一定の専門性・技能を有する外国人が、日本の産業分野で即戦力として就労することを目的に創設されました。
本コラムでは、特定技能1号・2号の基本的な条件を整理したうえで、介護分野における特有の要件や注意点を中心に解説します。
1 特定技能制度の全体像
特定技能には、1号と2号の2種類があります。
| 区分 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 技能水準 | 相当程度の知識・技能 | 熟練した技能 |
| 在留期間 | 通算5年まで | 上限なし |
| 家族帯同 | 原則不可 | 可能(要件あり) |
| 対象分野 | 12分野 | 一部分野のみ |
介護分野は、特定技能1号のみが対象であり、現時点では2号の対象分野には含まれていません。
この点は、介護分野に特有の重要なポイントです。
2 特定技能1号の主な要件(共通)
特定技能1号で在留するためには、原則として次の要件を満たす必要があります。
(1) 技能水準
各分野ごとに実施される技能評価試験に合格することが必要です。
(2) 日本語能力
原則として、
-
日本語能力試験(JLPT)N4以上
または -
国際交流基金日本語基礎テスト
に合格する必要があります。
(3) 年齢
原則として18歳以上であること。
(4) 健康・素行要件
健康状態が良好で、過去に重大な法令違反がないことなどが求められます。
3 介護分野における特定技能1号の特徴
(1) 介護分野は「人対人」の専門職
介護分野は、身体介助・生活援助など、利用者と直接向き合う業務が中心です。
そのため、他分野に比べて、日本語能力とコミュニケーション能力が特に重視されます。
(2) 介護分野特有の技能・日本語要件
介護分野では、次の両方に合格する必要があります。
-
介護技能評価試験
-
介護日本語評価試験
この点が、一般的な「技能試験+N4相当日本語」という構造とは異なる特徴です。
介護日本語評価試験では、
-
利用者との会話
-
介護記録の理解
-
職員間の連絡
など、実務に即した日本語能力が問われます。
(3) 業務内容の範囲
特定技能(介護)では、次のような業務が認められています。
-
身体介護(入浴・排せつ・食事介助等)
-
生活援助
-
これらに付随する記録・連絡業務
一方で、**訪問介護(利用者宅のみで行うサービス)**は、原則として認められていません。
施設系サービスが中心となる点にも注意が必要です。
4 特定技能2号とは?(介護分野との関係)
特定技能2号は、
-
在留期間の上限なし
-
家族帯同が可能
という点で、1号よりも安定した在留資格です。
しかし、介護分野は現時点で特定技能2号の対象外とされています。
そのため、介護分野で特定技能1号として在留できる期間は、通算5年が上限となります。
介護分野で長期就労を希望する場合、
-
介護福祉士資格を取得し、「介護」在留資格へ移行
することが、現実的な選択肢となります。
5 受入れ機関(事業者)側の注意点
介護分野で特定技能外国人を受け入れる場合、事業者側にも多くの義務があります。
(1) 適正な雇用契約
日本人と同等以上の報酬、労働時間、社会保険加入が必要です。
(2) 支援体制の整備
-
生活オリエンテーション
-
日本語学習支援
-
相談・苦情対応
などを含む支援計画の実施が義務付けられています。
(3) 介護分野特有の配慮
介護現場では、
-
専門用語の多さ
-
利用者との心理的距離の近さ
などから、定着支援の重要性が特に高い分野といえます。
6 まとめ
特定技能制度は、人手不足解消の有力な制度である一方、
特に介護分野では、日本語能力・支援体制・将来の在留資格設計が重要なポイントとなります。
-
特定技能1号は最長5年
-
介護分野は2号がなく、将来の資格移行を見据えた対応が必要
-
受入れ事業者の責任も大きい
制度を正しく理解し、適切な運用を行うことが、外国人材本人にとっても、事業者にとっても不可欠です。
特定技能制度や在留資格の選択・変更についてお悩みの際は、専門家に早めにご相談されることをおすすめします。