ブログ
墓埋法における「みなし墓地」とは
1.はじめに
墓地や納骨堂を設置・経営するには、墓地、埋葬等に関する法律(以下「墓埋法」)に基づく許可が必要です(墓埋法10条)。
しかし、実務では許可を受けていないにもかかわらず、墓地として取り扱われている土地が存在します。
このような土地は、一般に「みなし墓地」と呼ばれています。
この「みなし墓地」については、墓埋法附則26条が関係します。
2.墓埋法附則26条の位置づけ
(1)附則26条
墓埋法附則26条は、要旨として次のように定めています。
この法律施行の際、現に墓地、埋葬又は火葬の用に供されている施設で、
この法律の規定による許可を受けていないものについては、
当分の間、なお従前の例によることができる。
重要なのは、
-
「施行時に現に存在していたこと」
-
「墓地として用いられていた実態があること」
を前提に、直ちに違法として排除しないという経過措置である点です。
3.「みなし墓地」とは附則26条に基づく概念
(1)法律上の定義はない
「みなし墓地」という用語自体は、墓埋法に明文で規定されていません。
これは、附則26条を根拠として行政実務・裁判例の中で形成された概念です。
(2)附則26条が認めるもの
附則26条は、
-
無許可墓地を新たに適法化する
-
自由な新設・拡張を認める
といった趣旨の規定ではありません。
あくまで、
法施行以前から墓地として存在していた実態を、
公衆衛生・信教の自由・社会的安定の観点から
「当分の間」存続させる
という消極的容認規定です。
この附則26条の適用対象となる墓地が、実務上「みなし墓地」と呼ばれています。
4.附則26条が適用される典型例
次のような墓地は、附則26条との関係で問題となることが多くあります。
-
明治・大正期から存在する集落墓地
-
寺院境内に自然発生的に形成された墓域
-
許可制度が徹底される以前から存在する共同墓地
これらは、
-
墓地としての実態が継続している
-
墓標・墓石が存在し、社会的に墓地として認識されている
という事情から、附則26条により存続が認められてきたケースです。
5.附則26条の限界(重要)
(1)新規埋葬・拡張は自由ではない
附則26条は、現状維持を前提とする規定です。
そのため、
-
新たな墓域の造成
-
区画の拡張
-
大規模な再編成
については、原則として墓埋法10条の許可が必要とされます。
実務上も、多くの自治体は
-
既存墓地の維持管理は容認
-
新規埋葬については届出・協議を要求
-
拡張については許可取得を前提
という運用をしています。
(2)「当分の間」の意味
附則26条の「当分の間」は、永久的な既得権を認めるものではありません。
社会状況や衛生行政の要請によっては、
-
改葬の指導
-
機能縮小
-
整理・統合の協議
が求められることもあります。
6.土地所有者・管理者が注意すべき点
附則26条に基づくみなし墓地は、次の点で誤解が生じやすい分野です。
-
「許可がない=違法で自由に撤去できる」という誤解
-
「附則26条があるから何でもできる」という誤解
実際には、
-
墓地としての実態があれば私的処分は困難
-
行政との協議なしに整理・転用はできない
という強い法的制約を受けます。
売買・相続・開発の前提として、
附則26条該当性の有無を必ず確認することが重要です。
7.まとめ
-
墓埋法附則26条は、施行時に存在した無許可墓地の経過措置
-
これに基づき実務上「みなし墓地」という概念が用いられている
-
存続は当面認められるが、拡張・新設・自由利用は不可
みなし墓地は、過去の慣行と現在の法規制の接点にある制度です。
トラブルを防ぐためにも、早い段階で専門家に相談することが望まれます。
弁護士法人長野第一法律事務所はお墓に関するご相談や宗教法人法に関するご相談を受け付けています。