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サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)の特徴とは?

高齢者の住まいの選択肢として広く利用されている「サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)」。
近時、サ高住は、急増しています。

介護「施設」との違いが分かりにくく、契約の内容が正確に理解されていないと、入居者とのトラブルも生じやすくなります。

今回の記事では、サ高住の特徴と法的な位置づけ、トラブル予防のポイントを整理します。


1 サ高住とは何か

サ高住は、主に高齢者単身・夫婦世帯向けの賃貸住宅です。
制度は、高齢者の居住の安定確保に関する法律(いわゆる「高齢者住まい法」)に基づいて創設されています。

基本的な特徴ないし要件

  • バリアフリー構造

  • 安否確認サービス

  • 生活相談サービス

  • 都道府県等への登録制

重要なのは、「施設」ではなく「住宅」であるという点です。
そのため、契約形態は、原則として賃貸借契約
になります。ここが法的には一番大きなポイントです。

 いわゆる有料老人ホームは、主に「利用権」の契約であるのと対照されます。

 


2 他の高齢者施設との違い

サ高住は、いわゆる「介護施設」とは法的性質が異なります。

類型法的根拠性質
サ高住高齢者住まい法住宅(賃貸借)
有料老人ホーム老人福祉法施設(サービス提供主体)

主な違い

  • サ高住は「住まい」が中心

  • 介護サービスは外部の介護事業所と別契約が原則

  • 24時間介護が必須ではない

この違いを理解していないと、入居後に「思っていた介護が受けられない」「話が違う」というトラブルにつながります。


3 契約上の大きな特徴

(1)賃貸借契約が基本

サ高住はあくまで「住宅」なので、契約は通常の賃貸借契約です。
そのため、

  • 借地借家法の適用

  • 更新・解約に関する制限

  • 正当事由の問題

といった、通常の賃貸住宅と同様の論点が生じます。


(2)サービスは「付随契約」

安否確認や生活相談は義務付けられていますが、介護サービスは別途契約が必要です。

この「契約の分離」が、実務上の紛争の火種になります。

例:

  • 介護サービス停止が退去の事由になるのか

  • 介護度が上がった場合の退去請求の可否

  • 医療対応困難を理由とする契約終了

これらは、一概にはいえません。

契約書の定め方次第でも結論が大きく変わります。


4 入居者側から見たメリット・留意点

メリット

  • 自立度が高い高齢者に適する

  • 外出の自由度が高い

  • 自宅に近い生活環境

留意点

  • 介護体制は限定的

  • 看取り対応は施設ごとに差がある

  • 家賃+サービス費+介護費で費用増大の可能性

「終の住処」と考えて入居したものの、要介護度や医療依存度の上昇で事実上の転居を迫られるケースもあるようです。


5 運営事業者にとっての法的リスク

サ高住の運営は、単なる不動産賃貸業ではありません。

主なリスクは以下のとおりです。

  • 入居者死亡時の対応

  • 身寄りのない入居者問題

  • 退去請求の適法性

  • 消費者契約法上の条項無効

  • 重要事項説明義務違反

とくに、「住宅」と「福祉サービス」の中間的性格を持つため、
契約設計を誤ると大きな紛争に発展します。


6 サ高住の法的本質

サ高住の本質は、

「福祉サービス付きの賃貸住宅」

である点にあります。

したがって、

  • 借地借家法

  • 高齢者住まい法

  • 消費者契約法

  • 介護保険法

などの法令が複合的に関係します。

単一法令では整理できず、その特質を考えながら設計する/契約を解釈する必要があるのが難しいところです。


7 まとめ

サ高住は、

  • 住宅である

  • 登録制である

  • 安否確認・生活相談が必須

  • 介護は原則別契約

  • 契約設計が極めて重要

という特徴を持つ制度です。

高齢者人口の増加、サ高住自体の急激な増加に伴い、今後もトラブルは増加が見込まれます。

入居者側も事業者側も、契約段階での法的チェックが極めて重要です。

 

弁護士法人長野第一法律事務所は、介護事故(利用者側)や介護事業者からのご相談も対応しております。

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