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会社に関する疑問①~有限会社とは何か~

 現在、営利事業を営もうと思い、会社を設立しようとすると、選べるのは、基本的には①株式会社、②合名会社、③合資会社、④合同会社4種類のいずれかの会社になります。

 しかし、世の中には、「有限会社○○」や「△△有限会社」といった会社が存在します。これらの「有限会社」といった会社はどのようなものか、どうして現在有限会社を作ることができないのか、以下説明します。

 1 会社とは?

  会社とは、営利を目的とする社団法人のことです。・・・「営利とは?」、「社団法人とは?」と疑問の尽きない定義ですね。

 営利とは、事業活動によって、利益を上げ、それを構成員に分配することを指します。ここで大切なのは、「構成員に利益を分配する」というところです。

 他の公益法人などでも利益を上げることができますが、その利益を構成員に分配することを目的とした組織は、会社として作る必要があります。

 社団法人とは、人の集まりに対して法人格が付与(法律上「人」として扱われること)されたものを指します。

 つまり、会社とは、「事業活動によって利益を上げ、それを構成員に分配することを目的とした人の集まりで、法律上人として扱われるもの」を指します。

 

2 現行法上の会社の種類

  上述した会社ですが、その会社の種類は、会社法という法律により、①株式会社、②合名会社、③合資会社、④合同会社の4種類と定められています。

 以下、簡単に説明すると、

 ア ①株式会社

 有限責任、原則構成員の地位を自由に譲渡可、所有と経営が原則分離

 資本の払戻しがない

 イ 持分会社(②~④の会社)

   共通の特徴 原則構成員の地位の譲渡は他の構成員の同意が必要、所有と経営が分離していない。脱退可能。

 ②合名会社の特徴 無限責任

 ③合資会社の特徴 無限責任+有限責任

 ④合同会社の特徴 有限責任

 となります。

  「有限責任?」「無限責任?」・・・会社の責任について株主や社員(従業員ではなく、会社の持ち主のこと)が出資が戻ってこないという限度でしか責任

を負わないことを「有限責任」、全責任を負うことを「無限責任」と言います。

・・・無限責任の場合、会社が潰れた際に会社の借金を全て会社の所有者が負うことになります。

 

3 有限会社とは?

  有限会社は、上の4種類に入っていません。・・・では違法な会社なのか?

 いいえ、有限会社は、かつて存在した有限会社法という法律によって設立されたれっきとした会社です。

 そのため、今は作れませんが、有限会社法が商法に吸収され、会社法が施行された平成18年5月以前には作ることができました。

 有限会社の特徴は、現在の株式会社と大きな差はありません。

 

4 なぜ有限会社は廃止されたのか

  それでは、なぜ有限会社が存在し、また廃止されたのか。

  それは、会社法前の株式会社が大規模・公開会社を想定していたからです。

  そもそもの株式会社は、多くの出資者を集めて事業を行うことを想定しており、そのような企業は、必然的に大規模なものになります。

  そうなると、出資者全員の利益を可能な限り実現するために規制も厳しくなり、大企業以外で扱うのは困難なものでした。

  そこで、比較的小規模の会社でも利用できるよう「有限会社」を作り、小規模閉鎖的な会社の実情に合う規制を設けていました。

  しかし、制度を二つ作るより、日本の国情に照らし、中小企業に向けを原則とした株式会社制度を作り、大企業へは例外として規制を強くした制度に一本化した方が効率的でした。

  そのため、株式会社が有限会社の対象となる中小企業もカバーするようになったので、現在の会社法制定時に有限会社制度は廃止となりました。

 

5 現在の有限会社は

  会社法施行後は、新たな有限会社を設立することはできなくなりました。

  他方、既存の有限会社は、特例有限会社として存続することが可能ということになりました。

  特例有限会社は、定款を変更すれば、株式会社になることができます。株式会社になれば、現行の会社法の規制が適用されます。

 株式会社になれば、取締役会などを設置できるなど自由な機関設計が可能、上場等により出資を集めやすくなるなどのメリットもありますが、特例有限会社のままでいることにも、役員の任期がない、決算公告の義務がないといったメリットがあります。

 

 長野第一法律事務所では、会社の設立、会社の組織変更、事業承継などに関し、相談を受け付けています。

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