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解雇理由証明書は重要です
解雇理由証明書をご存じでしょうか?
労基法22条2項では,
労働者が、第20条第1項の解雇の予告がされた日から退職の日までの間において、当該解雇の理由について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。ただし、解雇の予告がされた日以後に労働者が当該解雇以外の事由により退職した場合においては、使用者は、当該退職の日以後、これを交付することを要しない。
同条3項では,
前2項の証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない。
とされています。
これがいわゆる「解雇理由証明書」というものです。
この規定の趣旨は,解雇された労働者が,具体的な解雇理由を知った上で,その適法性を十分に検討できるようにするために書面で明示するという義務を使用者に課し,恣意的な解雇を防止するということにあります。
これに違反すると,使用者には罰則があります。
(1)使用者(企業)側視点
実務上,問題となるのは,①どのように記載すればよいか,②どの程度詳しく記載する必要があるか,③どのようなことを書くべきか,書くべきでないかという点です。
これは関連する通達等を参考に,当該事案に応じて検討し,適切な記載とする必要があります。
また,解雇理由証明書記載の解雇理由は,紛争化した際に事後的な追加をすることは基本的に認められません。
したがって,「とりあえず適当に書いておいて,裁判などになったら,もっと詳しくかいて後でいろいろ追加すればいいや。」という判断は間違っています。
(2)労働者側視点
上記のとおり,「具体的な解雇理由」が記載されているかどうか,曖昧な記載がないか(訴訟等で不利になったときに違うことを主張することを許してしまうような記載になっていないか)などをチェックする必要があります。そのような曖昧な証明書しか交付されない場合には,照会書を送ったり,口頭で問い合わせるなどして,追加証拠を保全する必要があります(解雇理由の固定化)。
解雇理由証明書は,いずれの立場であっても解雇事案では非常に重要な証拠となりますので,慎重かつ正確に作成する(使用者側)/速やかに具体的な記載のあるものを交付してもらう(労働者側)必要があります。
解雇事件については,長野第一法律事務所にご相談ください。