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食品衛生法による回収命令~小林製薬事件

紅麹含有製品問題で、自治体が食品衛生法に基づいて、製品の回収命令を出したことが報じられています。

大阪市、小林製薬に回収命令 紅麹サプリなど3商品―岐阜の製造工場に立ち入り調査(時事通信)

 

 食品衛生法59条には、「回収命令」という制度があります。

 第五十九条 厚生労働大臣又は都道府県知事は、営業者が第六条、第十条から第十二条まで、第十三条第二項若しくは第三項、第十六条若しくは第十八条第二項若しくは第三項の規定に違反した場合又は第九条第一項若しくは第十七条第一項の規定による禁止に違反した場合においては、営業者若しくは当該職員にその食品、添加物、器具若しくは容器包装を廃棄させ、又はその他営業者に対し食品衛生上の危害を除去するために必要な処置をとることを命ずることができる。

 

 今回の小林製薬については、第6条に違反した場合ということですが、第6条は以下のような条文です。

 

 第六条 次に掲げる食品又は添加物は、これを販売し(不特定又は多数の者に授与する販売以外の場合を含む。以下同じ。)、又は販売の用に供するために、採取し、製造し、輸入し、加工し、使用し、調理し、貯蔵し、若しくは陳列してはならない。

 腐敗し、若しくは変敗したもの又は未熟であるもの。ただし、一般に人の健康を損なうおそれがなく飲食に適すると認められているものは、この限りでない。
二 有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは付着し、又はこれらの疑いがあるもの。ただし、人の健康を損なうおそれがない場合として厚生労働大臣が定める場合においては、この限りでない。
 病原微生物により汚染され、又はその疑いがあり、人の健康を損なうおそれがあるもの。
 不潔、異物の混入又は添加その他の事由により、人の健康を損なうおそれがあるもの。
 
 6条2号の「有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは付着し、又はこれらの疑いがあるもの。」にあたると判断されました。
 
 食品衛生法には、行政処分である回収命令のほかに、「自主回収」という制度があります。
 小林製薬は、行政処分である回収命令の発令前に、自主回収を実施していました。
 自主回収については、企業が任意に行うものですから法的根拠は必要ありませんが、自主回収を実施した場合には、遅滞なく、行政に届け出をすることが義務づけられています。
 
 
第五十八条 営業者が、次の各号のいずれかに該当する場合であつて、その採取し、製造し、輸入し、加工し、若しくは販売した食品若しくは添加物又はその製造し、輸入し、若しくは販売した器具若しくは容器包装を回収するとき(次条第一項又は第二項の規定による命令を受けて回収するとき、及び食品衛生上の危害が発生するおそれがない場合として厚生労働省令・内閣府令で定めるときを除く。)は、厚生労働省令・内閣府令で定めるところにより、遅滞なく、回収に着手した旨及び回収の状況を都道府県知事に届け出なければならない。
 第六条、第十条から第十二条まで、第十三条第二項若しくは第三項、第十六条、第十八条第二項若しくは第三項又は第二十条の規定に違反し、又は違反するおそれがある場合
 第九条第一項又は第十七条第一項の規定による禁止に違反し、又は違反するおそれがある場合
 都道府県知事は、前項の規定による届出があつたときは、厚生労働省令・内閣府令で定めるところにより、当該届出に係る事項を厚生労働大臣又は内閣総理大臣に報告しなければならない。
  届出された自主回収情報は健康被害発生の可能性を考慮し、クラス分類(Ⅰ~Ⅲにランク分けすること)がなされます。
  今回の小林製薬の紅麹含有製品に関連して、小林製薬以外の取引先も自主回収を行っているところがあり、その一覧が厚労省のHPで公表されています(3月28日現在のもの)
 
  ご自宅にある食品が、これらに該当しないかご確認をおすすめします。

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