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職場のセクハラで労災認定、休職中の女性を解雇 福岡の会社が労基法違反か 弁護士「氷山の一角」(西日本新聞)

 西日本新聞の報道です。

 職場のセクハラで労災認定、休職中の女性を解雇 福岡の会社が労基法違反か 弁護士「氷山の一角」(西日本新聞)

 詳細はリンク先の記事をご覧ください。

 概要としては、セクハラで精神疾患となった女性従業員(労災認定された)が、休職中に解雇されたという事案です。

 労基法では、

(解雇制限)
第十九条 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第八十一条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。
② 前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。

 という条文があります。

 中小企業ですと、このことがあまり知られていないようで、労災認定されている事案でも、解雇制限に反して解雇や退職勧奨をして退職させてしまうということがあります。

 もちろん解雇制限なので、本当に従業員が辞めたいという場合には退職自体はかまいませんが、実質的に退職を強要するような言動や働きかけがあればやはりこの条文に抵触することとなります。

 労災で休職し、治癒して職場復帰した場合でも、「労働能力が低下した」といった理由で、配置転換等を検討せずに、解雇してしまったりすることもあります。

 裁判所の傾向としては、労働能力が労災事故で低下した場合でもただちに解雇の相当性を認めるのではなく、使用者側で別の部署に配置させるなどの工夫(解雇回避努力)を求めることが多いといえます。

 このような労働法令や裁判所の判断傾向を踏まえて、適切に対応することが求められます。

 

 上記記事における有識者のコメントも参考になります。以下引用。

 熊本大の中内哲教授(労働法)の話 

  中小企業で法務担当を置くケースはそう多くはなく、コンプライアンス(法令順守)意識を高める努力が欠かせない。弁護士や社会保険労務士とも対話して労働関連法への理解を深める必要がある。今回のように労災認定された場合、休職期間満了に伴う解雇・退職ではなく、例えば取引先やグループ企業での就労を提案するなど雇用継続に向けた配慮を模索すべきではないか。引用終わり。

 

 労働法務に関しては、今後ますます重要になります。

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