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建設業特集3 建設業の特徴②~許可を受けるために必要なこと~
今回も引き続き、建設業の特徴のうち、許可に関して説明します。
1 前回の補足~許可の有効期間~
前回の記事で建設業の許可に関して説明しましたが、建設業の許可は一度取れば永続するものでしょうか?
許可には有効期間があります。
建設業許可の有効期間は許可日より5年間です。このため、失効日の30日前までに、更新する手続きが必要になります。
2 建設業許可の基準~許可要件と欠格要件~
前回説明した建設業許可ですが、具体的にはどのような場合にとれるのでしょうか?
建設業法には、適合しないと許可できない要件である許可要件を7条に、該当している場合に許可を出せない欠格要件を8条に定めています。
今回は、許可要件のみに関して説明し、次回の記事で欠格要件に関して説明します。
- 細かい要件は、建設業法施行規則に記載があります。
(1)許可要件① 経営業務の管理責任者の設置
許可要件の1つ目は、経営業務の管理責任者の設置です。
同要件は、建設業の適正な経営のために、経験者が最低1人は必要であると判断され、定められたものです。
具体的には、常勤の役員のうち1人(法人の場合)または本人または支配人の1人(個人の場合)が建設業に関して5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する場合が該当します。
つまり、会社の常勤役員の1人が、許可を受けようとする建設業と同じ業種の建設会社の役員、支店長、営業所長などを5年以上したことがある場合などが該当します。
※この場合以外にもこれに準じる場合として許可が下りるものもあります。
(2)許可要件② 適正な社会保険に加入していること
許可要件の2つ目は、適正な社会保険への加入です。
健康保険、厚生年金保険、雇用保険に該当する全ての事業所が加入している必要があります。
(3)許可要件③ 専任技術者の設置
建設業を行うためには適切な専門知識が必要になります。このため、各営業所ごとに、一定の経験を有した技術者(専任技術者)を配置する必要があります。
また、配置すべき技術者は、一般建設業許可と特定建設業許可で異なります。
・一般建設業許可の場合
① 指定されている学科修了者で高卒後5年以上または大卒後3年以上の実務経験を有する者(専門学校の場合もあります。)
② 許可を受けようとする工事について、10年以上の実務経験を有する者
③ 指定された国家資格を有する者
例:土木工事業:1,2級土木施工管理技士、技術士など
④ 指定された複数業種に係る実務経験を有する者
※大工工事業の許可を受ける場合に、それ単体では10年以上の実務経験がなくても、大工工事業を含む建設工事に関し、12年以上の実務経験があり、かつ、大工工事業に関して8年を超える実務経験がある場合には、許可を受けられるようになります。
以上の①~④のうち、1つでも満たす者を営業所に配置すれば、要件を満たしたことになります。
・特定建設業許可の場合
① 指定された国家資格を有する者
例:土木工事業:1級土木施工管理技士、技術士など
② 指導監督的実務経験を有する者
一般建設業許可の場合の実務経験を満たしている者で、かつ、許可を受けようとする建設業に関して、発注者から4500万円以上の工事を直接請け負い、かつ同工事に関して2年以上の実務経験を有する者
③ 大臣特別認定者 ※現在は実施されていません。
以上の①~③のうち、1つでも満たす者を営業所に配置する必要があります。
ただし、指定建設業(土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業)の許可を求める場合は、①の要件を必ず満たす必要があります。
※許可を受けて建設業を営もうとする全ての営業所に専任技術者を置く必要があります。
(4)許可要件④ 誠実性があること
建設業は、信用が第一なので、誠実性は不可欠です。これは、法人だけでなく、重要な地位にある役員にも求められます。
同要件は、誠実性に欠ける行為などがなければ認められます。
(5)許可要件⑤ 財産的基礎及び信用があること
建設業では、大きなお金が動きます。このため、建設業者には、適切な財産的基礎が求められます。これも、一般建設業許可と特定建設業許可で異なります。
- 一般建設業許可の場合
次のいずれか1つに該当する必要があります。
① 自己資本が500万円以上であること
② 500万円以上の調達能力があること
③ 許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績が
あること
- 特定建設業許可の場合
次の全てに該当する必要があります。
① 資本金の額が2000万円以上であり、かつ、自己資本の額が4000万円以上であること
自己資本?・・・法人の場合は、純資産合計額を指します。
② 欠損額が資本金の20パーセント以下であること
欠損額?・・・当期未処理損失―(法定準備金+任意積立金)で計算できます。
③ 流動比率が75パーセント以上であること
流動比率?・・・流動資産/流動負債×100で計算できます。
3 今回の説明は、以上になります。
今回で許可要件を全て説明しようと考えていましたが、やはり分量が多くなってしまいました。
次回は、許可要件の続きを説明していきたいと思います。
長野第一法律事務所では、建設業に関する契約やコンプライアンス、許認可について、相談を受け付けています。
今回の説明はあくまでも概説ですので、これから建設業を営もうとする方・詳細の説明が必要な方は、是非長野第一法律事務所にご相談ください。