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フリーランス新法の説明①~どうして制定されたの~
1 フリーランス新法とは?
そもそもフリーランス新法とは何でしょうか?
同法の正式名称は、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」というものであり、これの通称が「フリーランス・事業者間取引適正化等法」、これを略したものが「フリーランス新法」となります。
そして、この法律は、フリーランスの方が安定的に働くことができる環境を整備することを目的に制定されました。
2 そもそも「フリーランス」ってなに?どうして法律ができたの?
「フリーランス」とは、広辞苑上の意味では、「(もと中世の傭兵の意)特定の組織に属さず仕事をする人。自由契約の記者・作家や無専属の俳優・歌手など」とあります。さらに、この法律における「フリーランス(特定受託事業者)」は、この意味から限定されていて、以下の者を指します。
「業務委託」の相手方である事業者であって、個人・法人問わず、従業員を使用しないものを指します(法第2条第1項)。
※「フリーランス」に限らず、法律上の用語は、国語辞書的な意味ではなく、その法律上の定義に従います。
・・・ふむふむ、「業務委託」の相手方で従業員を使わないものを指すのか・・・
ご安心ください、「業務委託」に関しても定義があります。
同法第2条第3項により、「業務委託」とは、
① 事業者がその事業のために他の事業者に物品の製造(加工を含む。)又は情報成果物の作成を委託すること。
② 事業者がその事業のために他の事業者に役務の提供を委託すること(他の事業者をして自らに役務の提供をさせることを含む。)
を指します。
つまり、ある事業者Aが、別の事業者Bに物(プログラムや広告)の作成を委託や、サービス(撮影や取材)を委託することが、「業務委託」になります。
これを従業員のいないものに委託すると、本法の「フリーランス」に当たります。
昔は、物の作成には工場等の設備や人手が必要であり、同一企業内で生産するか、外部に委託する場合でも従業員のいる企業に委託していました。
しかし、近年では、働き方の多様化により、個人に委託することも増えるようになりました。
- 昔は配達に関して宅配業者に委託するのみでしたが、現在では、Uber Eatsなど、個人に配達を委託するケースもありますね。
このため、フリーランスが急増しましたが、フリーランスに関する法律はなく、対等当事者間のルールである民法しか存在しませんでした。
- 民法は、消費者契約法や下請法、労働法などと異なり、対等当事者を前提としています。そのため、契約当事者の自己責任が原則となります。
しかし、上の例をみても大企業が個人に発注するのでは、交渉力や情報収集力に関する格差が大きい物となります。このため、報酬の不払いや、支払期限などの取引条件に関して、フリーランスが不利な条件を飲まざるを得ないケースもみられるようになります。
そこで、最低限のルールを定めることにより、弱い立場のフリーランスが適正な取引を行えるようにするため、本法律が制定されました。
3 本法律の対象or対象外?
さて、上記のとおりの趣旨で制定された法律ですが、ここで、この法律の対象としてわかりづらいケースの説明を行います。
① 企業が従業員を使わない個人に委託した場合
(企業が宣伝写真を委託するケースなど)
⇒対象になります。
② 個人が個人に委託した場合
(とある家族が家族写真を委託したケースなど)
⇒対象外になります。
③ 企業が従業員を使う事業者に委託した場合
⇒(原則)対象外になります。
(例外)短期間・短時間等の一時的に雇用される従業員は含まず、これらの従業員のみの場合は、対象になる場合がある。
- 本法律に「従業員」の定義はありません。このため解釈の問題になります。この点立法者は、上記(例外)の場合は、この法律における従業員には当たらないと整理しています。
4 今回の説明は、以上になります。
新法を把握するために、制定経緯や立法趣旨を知ることが重要であるため、どうしても分量が多くなってしまいます。
次回は、中身に関してご説明いたします。
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