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フリーランス新法の説明②~新法の概要~

前回は、今秋施行予定のフリーランス新法に関して、用語の定義や、どうして法律ができたかなどに関して説明しました。

今回は、いよいよ新法の中身に関して概説したいと思います。

 

1 取引の適正化のために義務づけられる事項

  発注事業者(フリーランスに委託する事業者)の性質により、取引適正化のため、それぞれ以下の義務が課せられます。

 ① 書面等による取引条件の明示義務

   給付内容(フリーランスの義務内容)、報酬額、支払期日を原則委託後直ちに書面化し、明示する必要があります。

 ② 報酬支払期日の設定・期日内の支払い義務

   給付を受けてから60日以内のできる限り短い期間内に報酬を支払う必要があります。同期間より長い支払期日を定めても60日となります。

   再委託の場合は、元委託の支払期日から30日以内に再委託の報酬を支払う必要があります。

 ③ 禁止事項を遵守する義務

   発注事業者には以下の禁止事項が課されます。

  A フリーランスに責任が無いのに、成果物等の受領を拒むこと。

  B フリーランスに責任が無いのに、報酬の額を減額すること。

  C フリーランスに責任が無いのに、成果物を受領後引き受けさせること。

  D 通常の対価と比較して、著しく低い報酬を設定すること。

  E 正当な理由がある場合を除き、発注事業者の指定するものの購入を強制し、または、サービス等を強制させること。

  F 発注事業者のために金銭、サービス等の経済上の利益を提供させること。

  G フリーランスに責任が無いのに、仕事の内容の変更ややり直しをさせること。

 ア 発注事業者に従業員がいない場合

   ①のみ義務付けられています。

 イ 発注事業者に従業員がいる場合(特定業務委託事業者)

   ①、②、③のF,G

 ウ イの場合かつ政令で定める期間以上の期間業務委託を行う場合

  • 政令は本記事投稿時点では制定されていませんが、案としては、③に関して、期間を「1ヶ月」としています。

  ①、②、③の全てを義務付けられています。

2 就業環境の整備に関する事項

  発注事業者の性質により、就業環境の整備のため、それぞれ以下の義務が課されます。なお、就業環境整備の義務は、発注事業者に従業員がいない場合、課されていません。

 ④ 募集情報の的確表示義務

   広告等により募集を行う際は、業務の内容、業務に従事する場所、期間又は時間に関する事項、報酬に関する事項、契約の解除に関する事項、募集者に関する事項を記載し、虚偽または誤解を生じさせる表示をしてはならない義務があります。

 ⑤ 育児介護等と業務の両立に対し、配慮する義務

   フリーランスの育児や介護等に配慮する義務があります。

 ⑥ ハラスメント対策に係る体制整備義務

   セクハラなどや優越的な地位を利用して就業環境を害する言動を行わないなどの義務があります。

 ⑦ 中途解除等の事前予告・理由開示義務

   中途解除を行う場合は、少なくとも30日前に予告する義務があります。また、理由を明示する必要があります。

 ア 発注事業者に従業員がいる場合(特定業務委託事業者)

   ④、⑥

 イ アの場合かつ政令で定める期間以上の期間業務委託を行う場合

   ④、⑤、⑥、⑦

  ※政令は本記事投稿時点では制定されていませんが、案としては、⑤、⑦に関しては、期間を「6ヶ月」としています。

 

3 違反の制裁

  以上のとおり、発注事業者に応じて、フリーランスとの取引の際は、義務が発生します。

  また、これらの義務に違反した場合は、公正取引委員会の勧告、命令や中小企業庁の報告や検査の対象となり、さらにこれらの措置に違反すると、公表や罰金等が科されることになります。

 

4 今回の説明は、以上になります。

  発注事業者ごとに義務が異なりますが、契約内容を明示する義務は共通して存在します。

  違法契約として摘発されないよう、フリーランス新法施行前に、契約内容を見直し、体制を整えておきましょう!

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